薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
ラットにおけるArgipidine (MD-805)の体内動態に関する研究(I):Argipidineのin vivoおよびin vitro代謝
飯田 成宇小松 貞子斎藤 芳男佐藤 恵子北沢 憲井口 富夫殿村 信二菊本 亮二井澤 修
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1986 年 1 巻 4 号 p. 363-376

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抄録

抗トロンビン活性を有するargipidineのラットにおけるin vivoおよびin vitro代謝について検討した.14C-Argipidine静脈内投与後の胆汁中およびargipidineとラット肝9000×g上清またはラット肝ミクロゾームとのインキュベーション混液中から4種の代謝物を同定あるいは推定した.すなわち,argipidineの3-methyltetrahydroquinoline (3MTHQと略)環が芳香化された化合物であるM-1,3MTHQ環の4-水酸化体である.cis5体およびtrans体のM-2およびM-3,および3MTHQ環のN-水酸化体であるM-4である.M-4をラット肝ミクロゾームとインキュベートしたときM-4はさらにM-1に代謝され,また,この反応はNADPHおよび酸素依存性であった.これらの結果は,argipidineのラット肝ミクロゾームにおける芳香化反応は,argipidineのN-水酸化を第一段階とする段階的な酸化反応であることを示唆した.また,argipidineのラット肝ミクロゾームにおける代謝には,2つの異なった経路が関与しているものと推察された.すなわち,M-2およびM-3の生成は,cytochrome P-450 monoxygenase系の酵素により,また,M-4の生成はflavin-containing monoxygenaseにより触媒されるものと推察された.

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© 日本薬物動態学会
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