薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
Lactitol(NS-4)の体内動態(第2報):ラットにおける単回投与後の分布,胎児および乳汁移行性,ならびに反復投与後の体内動態および肝薬物代謝酵素系への影響
辻岡 知郎吾郷 正之向井 英也森野 昭江角 凱夫高市 松夫関 英昌二宮 真一高尾 厚志大坪 美和
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1995 年 10 巻 1 号 p. 90-118

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抄録
ラットにおけるlactitolの単回経口投与後の分布,胎児および乳汁移行性,ならびに反復経口投与後の体内動態および肝薬物代謝酵素系への影響について検討し,以下の結果を得た.
1.雄性ラットに14C-lactitolを単回経口投与した際,中枢神経系,眼球,脂肪,骨格筋,動脈および精巣を除き,放射能の組織への移行は良好であり,大部分の組織で10時間に最高濃度を示した.各組織からの放射能の消失は緩慢であった.放射能の分布に性差は認められなかった.
2.妊娠中のラットに14C-lactitolを経口投与した結果,胎児に母体血液よりも高い放射能が認められた.
3.哺育中のラットに14C-lactitolを経口投与した結果,乳汁中放射能濃度は血漿中よりも高値を示した.
4.14C-Lactitolを反復投与した際,組織内放射能には蓄積性および残留性が認められた.
5.14C-Lactitolの単回あるいは反復投与によりラットの組織に残留する放射能は,生体成分化した(脂質や蛋白質等に組み込まれた)ものであることが示唆された.6.Lactitolを反復投与しても,肝薬物代謝酵素系に影響を及ぼさなかった.
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