薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
Laetitol(NS-4)の体内動態(第1報):ラットおよびイヌにおける吸収,代謝および排泄
吾郷 正之辻岡 知郎向井 英也森野 昭
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 10 巻 1 号 p. 75-89

詳細
抄録
ラットおよびイヌに14C-lactitolを静脈内および経口投与し,その吸収,代謝および排泄について検討した.
1.静脈内投与した場合,血漿中放射能の大部分は未変化体であり,未変化体濃度は単一指数関数的に低下した.消失半減期は,ラットおよびイヌでそれぞれ0.352および0.594時間であった.
2.経口投与した場合,血漿中の放射能濃度は緩やかに上昇し,ラットで6.0時間,イヌで9.3時間に最高値に達し,その後緩慢な消失を示した.血漿中で,未変化体濃度は低く,放射能のほとんどは代謝物であった.未変化体濃度より求めたsystemic availabilltyは,ラットおよびイヌでそれぞれ1.69および2.72%と低かった.
3.10~1000mg/kgの用量でラットに経口投与した場合,血漿中放射能濃度は用量に比例した.また,ラットの血漿中放射能濃度推移に性差は認められなかった.
4.ラットに経口投与後,小腸部位に存在する放射能はほとんどが未変化体であったが,盲腸に移行した放射能の大部分sorbitolo1や揮発性物質等の代謝物であり,この揮発性物質は短鎖脂肪酸であると推察された.したがって本薬物は,盲腸において腸内細菌叢により著しく代謝されることが明らかとなった.
5.静脈内投与した場合,両動物種とも放射能はほとんど未変化体として尿中へ排泄された.ラットに経口投与した場合,放射能の主たる排泄経路は呼気中であり,投与後168時間までの尿,糞および呼気中への放射能の排泄率はそれぞれ投与量の5.1,16.1,65.0%であった.
6.ラット,イヌおよびヒトの血清を用いてlactitolのin vitro血清蛋白結合試験を行ったところ,0.5~50μg/mlの濃度範囲において,結合は認められなかった.
著者関連情報
© 日本薬物動態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top