抄録
[125I]LBIを雄性ラットにiodineとして10mg/kgを1日1回,7日間,反復経口投与した際の吸収,分布および排泄について検討した.
1.毎回投与後3時間の血液中放射能濃度は,2回投与以降1回投与における濃度の1.9倍前後を示してほぼ定常状態に達する傾向が認められた.また,毎回投与後24時間の血液中放射能濃度は投与回数に伴う変化は認められなかった.
7回投与後の血液中放射能濃度は投与後1時間に最高濃度11.16μg eq. of iodine/mlを示したのち,投与後3時間から12時間まで半減期6.7hr,24時間から72時間まで半減期23hrで消失した.
2.7回投与後24時間の組織内放射能濃度は,血漿中放射能濃度に比し甲状腺で415倍,胃,皮膚,白色脂肪,褐色脂肪および骨髄で9~2倍の高値が認められたほかは,血漿とほぼ同程度かあるいは血漿より低い濃度を示した.各組織に移行した放射能の消失は比較的速やかであり,7回投与後336時間では甲状腺に24時間値の66%,白色脂肪および精巣上体にそれぞれ24時間値の37%および33%が認められたほかは,いずれも24時間値の22%以下あるいは検出限界以下となった.
これらの結果は全身オートラジオグラフィーの結果とほぼ一致した.
7回投与後24時間から336時間における血球移行率は経時的変化は認められず,33%前後と低い値を示した.
3.毎回投与後24時間における尿および糞中に排泄される放射能の割合は,各回投与後の累積投与量に対してその約90%が尿中に,約10%が糞中にそれぞれ排泄され,投与回数に伴う変化は認められなかった.
以上の結果から,投与4時間後にすでに血液から特異的に甲状腺への移行が認められ,336時間後でも高く分布することが示された.他の器官では血漿における濃度変化とほぼ平行した変化を示し,蓄積性,残留性を認めなかった.