薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
ツロブテロールテープ剤の体内動態(第1報):ラットにおける単回貼付後の吸収,分布,代謝および排泄
村田 光夫高木 毅奥村 公紀高原 栄二永田 治
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 11 巻 6 号 p. 614-626

詳細
抄録
14C-ツロブテロールあるいは非標識ツロブテロールをテープ剤としてラットに経皮投与し,吸収,分布,代謝および排泄について検討した.
1) ラットに14C-ツロブテロールを10mg/kg経皮投与したときの血液中放射能濃度は雌2時間,雄4時間で最高濃度に達し,以後T1/2それぞれ15.9,15.7時間で減少した.
2) 雄性ラットに非標識ツロブテロールを5,10,20mg/kg経皮投与したとき,未変化体の血液中濃度は4.0~5.5時間で最高濃度に達した後徐々に減少し,剥離後のT1/2は2.6~2.9時間であった.また,経皮投与後の生物学的利用率は50.2%と経口投与時(4.7%)の約10倍大きかった.さらに,5~20mg/kgの範囲でCmax,AUCと投与量の間に直線関係が認められた.
3) 雄性ラットに14C-ツロブテロールを10mg/kg経皮投与したとき,ほとんどの組織で投与後4時間に最高濃度を示した.貼付部皮膚,肝臓,腎臓に比較的高い放射能がみられ,作用部位と考えられる肺,気管への移行も確認された.各組織からの消失は血液中濃度推移と同様であり,残留性は認められなかった.
4) 雄性ラットに14C-ツロブテロールを皮下投与後の尿中には経口投与時と同様の代謝物が認められ,皮下投与後の遊離の未変化体は経口投与時の排泄率0.1%から3.1%に上昇した.
5) ラットに14C-ツロブテロールを10mg/kg経皮投与したとき,168時間までの尿糞中排泄率は雄で尿50.8%,糞35.4%,雌で尿52.8%,糞34.7%であった.尿,糞およびテープ中薬物残存を合計した回収率は雄で99.5%,雌で100.3%とほぼ完全であった.
著者関連情報
© 日本薬物動態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top