薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
超短時間作用型β1遮断剤ONO-1101の体内動態(第3報):各種動物における代謝および蛋白結合
恒川 健今若 治夫山本 勝彦柴川 公雄平工 誠治
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1997 年 12 巻 1 号 p. 31-41

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抄録

ONO-1101をラットおよびイヌに静脈内投与した時の代謝について検討した.また,ONO-1101のin vitro代謝速度における種差,ONO-1101のヒト血漿中の水解代謝に対するエステル基を有する薬剤による影響および蛋白結合についても検討した.
1.ラットに静脈内投与後5分の血液中放射能は81.8%がONO-1101のエステル結合が水解されたM-1として存在し,未変化体は2.1%であった.静脈内投与後の尿中および胆汁中の主代謝物もM-1であり,未変化体は7.0%以下であった.
2.イヌに静脈内投与後5分の血漿中には未変化体およびM-1がそれぞれ1.87μg/mlおよび1.35μg/ml存在した.投与後30分には未変化体,M-1以外にM-1のβ酸化体であるM-2が認められた.M-1,M-2および未変化体は,静脈内投与後24時間までの尿中にそれぞれ投与量の38.1%,40.5%および2.7%が排泄された.胆汁中には投与後8時間までにM-1および未変化体がそれぞれ投与量の0.10%および2.83%排泄された.
3.ラット,イヌおよびヒト血漿におけるONO-1101の水解活性はラット,ヒト,イヌの順に強く,ONO-1101の水解代謝に関与するヒトの血漿のエステラーゼはpseudocholinesterase,ラットの血漿,肝臓およびイヌの肝臓のエステラーゼはcarboxylesteraseと考えられた.
4.アセチルコリン,エナラプリルはヒト血漿中でのONO-1101の水解代謝に対して影響を与えなかったが,pseudocholinesteraseにより水解代謝されるプロカイン,サクシニルコリンはONO-1101の水解代謝を競合的に阻害した.
5.ONO-1101の血清蛋白結合率は0.1μg/mlの濃度においてラット,イヌおよびヒトでそれぞれ2.8,21.3,1.6%であった.

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