薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
新規抗癌剤塩酸アムルビシン(SM-5887)の体内動態(第4報): ラットおよびイヌにおける代謝
仲井 俊司赤尾 恭子伊藤 正樹金丸 博中塚 巌
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1998 年 13 巻 2 号 p. 100-112

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抄録

ラットおよびイヌに14C標識したSM-5887を静脈内投与したときの尿,胆汁中(ラット,イヌ)または組織中(ラット)の代謝物について検討し,以下の結果を得た.
1.ラット尿中には9種類,ラット胆汁中には10種類,イヌ尿中には6種類,イヌ胆汁中には11種類の代謝物がそれぞれ認められた.尿中代謝物についてはラットではSM-5887-13-OHやSM-5887が多く,イヌではM-2やMet Bの割合が高かった.ラット,イヌとも胆汁中にはM-1,M-2をはじめ,多くの高極性代謝物が認められた.
2,ラット組織中にはMet Bがもっとも多く,ついでSM-5887やSM-5887-13-OHが多く,ほとんどの組織においてSM-5887と同等,あるいはより低極性の代謝物が高い比率を占めた.
3.低極性の代謝物は,側鎖の13位カルボニル基が還元されたSM-5887-13-OH,還元的に脱糖したデオキシアグリコン体Met AとMet B,7位水酸基が保持されたまま脱離したアグリコン体Met C,および脱アミノ体Met D等であることを,それぞれ各合成標品とHPLCおよび質量分析で比較することにより同定した.高極性の代謝物(M-1~M-7)については,M-4およびM-6はSM-5887-13-OHのグルクロン酸抱合体と考えられ,その他はその高い極性から抱合体として存在するものと推測されたものの,極めて不安定であり,構造を確認することはできなかった.

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