薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
新規抗癌剤塩酸アムルビシン(SM-5887)の体内動態(第3報): イヌにおける単回静脈内投与時の体内動態
仲井 俊司赤尾 恭子伊藤 正樹小室 勢津子金丸 博中塚 巌
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1998 年 13 巻 2 号 p. 91-99

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抄録

イヌに14C-SM-5887を1.5mg/kgで静脈内投与したときの体内動態について検討し,以下の結果を得た.1.血漿および血球中の放射能濃度は投与後速やかに減少し,投与後24時間から168時間までは緩やかに減少して三相性の推移を示した.また,血球中濃度は血漿中濃度の1/2~1/3であった.
2,血漿および血球中SM-5887濃度は放射能濃度と比較して速やかに減少した.側鎖カルボニル基が還元された活性代謝物SM-5887-13-OHの血漿および血球中濃度は投与後速やかに増加し,投与後24時間まで緩やかに減少した.その他,血中の代謝物としてアグリコン代謝物(Met A,Met BおよびMet C)が検出された.3.組織中放射能は,投与後1~4時間に最高濃度となり,肝臓,胆嚢に特に高く分布し,ついで腎臓,肺,脾臓,膵臓および前立腺で高濃度であった.肝臓,眼,皮膚(有色部)および精巣では放射能の消失は緩やかであった.常時高濃度に放射能が分布した肝臓では,投与後168時間においても投与量の9%の放射能が存在した.
4.組織中代謝物ではMet Bがもっとも高濃度であり,ついでSM-5887-13-OHが高濃度であった.これらの代謝物と比較してSM-5887は低濃度であり,消失も速やかであった.
5.投与後168時間までの尿中および糞中に,それぞれ投与放射能の8%および74%が排泄された.

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