1998 年 13 巻 2 号 p. 122-132
ラットにBX661Aを単回経口または静脈内投与し,1血漿中濃度推移について検討した.
1.絶食雄性ラットに標識位置の異なる2種類の14C-BX661Aを経口投与したとき,血漿中放射能濃度は両標識体とも投与後30分と8~10時間をピークとする2相性を示し,後者により高い放射能濃度が認められた.投与後30分の血漿中放射能濃度は標識位置の違いによらずほぼ同じ値を示したが,投与後8~10時間の濃度は14C-BX661A(5ASA)を投与したときのほうが,投与後24時間は14C-BX661A(4ABA)を投与したときのほうが高い値を示した.
2.用量相関性において5ASAのアセチル化は高用量で,4ABAのそれはより低用量で飽和現象が見られた.
3.BX661A経口投与後の未変化体の血漿中濃度には性差が認められ,雄性ラットに比べ雌性ラットで低値を示した.
4.非絶食雄性ラットにBX661Aを経口投与したとき,未変化体,5ASAおよびAc-5ASAの血漿中濃度は絶食投与時に比べて低値を示した.一方,4ABAおよびAc-4ABAの血漿中濃度は食事の影響を受けなかった.
5.BX661Aを雄性ラットに静脈内投与したとき,血漿中未変化体はT1/2(α)6.0~6.2分,T1/2(β)21.8~28.6分と速やかに消失した.一方,各代謝物は未変化体が検出される投与後2時間までの血漿中には検出されなかった.
6.BX661Aを雌性ラットに静脈内投与したとき,未変化体のC0,分布容積などには有意な性差はなかったが,T1/2(α)(雄:6.2分,雌:3.4分),一次速度定数Kel(雄:0.068/min,雌:0.143/min),CL(雄:0.015L/min/kg,雌:0.025L/min/kg)ならびにAUC(0-2hr)(雄:179744ng・h/ml,雌:111370ng・h/ml)には有意な差が認められた.