薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
潰瘍性大腸炎治療薬5-[4-(2-Carboxyethylcarbamoyle)-phenylazo] Salicylic Acid Disodium Salt Dihydrate (BX661A) の体内動態(第4報): ラットに反復経口投与したときの血漿中濃度推移,分布,代謝および排泄
尾関 和久小嵜 正彦内田 研林 敏広網野 光人
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1998 年 13 巻 2 号 p. 152-162

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抄録

14C-BX661Aおよび非標識BX661Aを雄性ラットに7および14日間反復投与し,その吸収,分布,代謝および排泄について検討し,以下の結果を得た.
1.BX661Aを投与した尿中より代謝物としてあらたにacetyl-p-aminobenzoic acidおよびacetyl-p-aminohippuric acidを見い出した.
2.14C-BX661A(5ASA)を14日間反復経口投与したとき,投与初日,7および14日目のCmax,AUC,Tmaxに違いはなかった.一方,14C-BX661A(4ABA)を14日間反復経口投与したとき,投与後24時間の血漿中放射能濃度は初回投与に比べて7回投与では15倍以上となった.また,CmaxおよびAUCは初回投与に比べ7および14回投与で有意に増加したが,7から14回投与にかけては有意な差は認められなかった.
3.BX661Aを14日間反復経口投与したときの未変化体および各代謝物の血漿中濃度に投与回数に依存した変化は認められなかった.また,投与後24時間の未変化体および代謝物の血漿中濃度は定量限界以下であった.
4.14C-BX661A(5ASA)を14日間反復経口投与したときの組織内放射能濃度は1回投与に比べて7回投与で約2倍増加したが,7および14回投与ではほぼ同じであった.最終投与後の組織中放射能濃度は血漿に比べて緩やかに減少した.
5.14C-BX661A(4ABA)を2週間反復経口投与したとき,投与後24時間の組織内濃度は,初回投与に比べ7および14回投与で増加したが,大部分の組織で組織内濃度と血漿中濃度の比には大きな変化はなかった.最終投与後の組織中放射能濃度は血漿に比べて緩やかに減少した.
6.BX661Aを7日間反復経口投与したときの未変化体および各代謝物の排泄パターンには,明らかな変化は認められなかった.

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