薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
エイコサペンタエン酸エチル(EPA-E)のラットおよびイヌにおける生体内動態
石黒 淳三多田 俊人荻原 琢男村上 仁啓国広 靖之
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1987 年 2 巻 6 号 p. 683-702

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抄録
14C-EPA-Eをラットおよびイヌに経口投与し,吸収,分布および排泄について検討し以下の結果を得た.
1.血漿中濃度はラットでは投与6~9時間後に,イヌでは24時間後にそれぞれ最高値を示し,以後2相性で低下した.
2.ラットの尿,糞および呼気中への7日間の排泄率は,雄がそれぞれ2.7,16.7および44.4%,雌が3.3,18.3および51.4%であった.イヌでは尿および糞中排泄率はそれぞれ1.0および19.2%であった.
3.ラットの胆汁中には24時間までに2.9%が排泄された.
4.雄ラットでは,投与1週間後に最高値を示した脳,白色脂肪,皮膚および動脈を除き,各組織内濃度は9~24時間後に最高値を示し,以後緩やかに低下した.各組織からの放射能の消失速度は血漿のそれとほぼ同様か,やや遅かった.雌ラットにおいては,脳,筋肉,白色脂肪および皮膚は1週間後に,心,副腎,膀胱,卵巣,褐色脂肪および骨髄は24時間後に,また,子宮は9~24時間後に,動脈は24時間~1週間後にそれぞれ最高値を示した.他の組織はいずれも9時間後が最高であった.
5.妊娠12日および19日のラットにおいて,胎仔に放射能の移行が認められたが,移行率は低かった.
6.ラットの乳汁中濃度は投与12時間以後,血漿中濃度より高くなり,24時間後に最高値を示した.
7.14C-EPA-E投与後のラットおよびイヌにおいて,血漿中放射能の大部分は血漿蛋白と結合していた.
8.ラットに反復投与したとき,毎回投与24時間後の血漿中濃度は12日間までに定常状態に達し,各組織の濃度は投与回数の増加とともに上昇した.単回投与時と反復投与時の各組織の消失半減期には顕著な差は認められなかった.
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© 日本薬物動態学会
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