薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
新経口セフェム剤,ME1207の生体内動態―ラット,イヌにおける代謝―
松元 隆生形 和幸程島 直子津久井 桃子小宮 泉関 英昌江角 凱夫
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1992 年 7 巻 6 号 p. 799-812

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抄録

プロドラッグ型経口セフェム剤ME1207の代謝について,ラットおよびイヌについて検討した.ラットにME1207を経口投与したときの消化管内動態を検討したところ,消化管内でME1207の他に,ME1207の異性体であるME1207EおよびME1207Δ3が微量ながら生成することを見出した.ME1207経口投与時に血漿中に活性体ME1206の他にわずかにME1206EおよびME1206Δ3が検出されるが,これは消化管内で生成したME1207EおよびME1207Δ3に由来することが推定された.(Aminothiazole-2-14C)ME1207をラットおよびイヌに経口投与し尿,糞中の総放射能活性と代謝物の検討を行った.尿中ではME1206が主に存在した.糞中にはラットではME1206のβラクタム環が開裂したMOHが大部分存在し,イヌではME1206,ME1207,ME1206EまたはME1206Δ3,MOHとして排泄された.ME1207をラットおよびイヌに経口投与したとき,エステル部分由来の代謝物ピバリン酸は抱合型として尿に検出され,投与後48時間までにラットで58.17%,イヌで50.68%と比較的高い排泄率を示した.

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© 日本薬物動態学会
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