薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
ロイコトリエン拮抗剤ONO-1078の体内動態(第4報): 代謝および蛋白結合
石堂 雅恒柴川 公雄高本 まゆみ梶原 郁郎澤田 正文愛下 秀毅
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1993 年 8 巻 1 号 p. 49-66

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抄録

ONO-1078(4-oxo-8-[4-(4-phenylbutoxy)benzoylamino]-2-(tetrazol-5-yl)-4H-1-benzopyran hemihydrate)のラット,モルモットおよびイヌにおける代謝について検討した.また,血漿(あるいは血清)蛋白との結合性について検討を行うとともに,併用を予想される相手薬剤との蛋白結合の相互作用についても検討した.
1.ラットでの代謝物は未吸収で糞中へ排泄された未変化体を除いて,ほとんどすべてアミド結合が水解された代謝物であった.また,ラットの代謝物とイヌの代謝物は異なっており,種差が認められた.
2.ラットの主たる代謝物としてアミド結合が水解されたMC-0およびMH-0の他,MH-0がタウリン抱合されたMH-1,そしてMH-0が水酸化後にタウリン抱合されたMH-2が同定された.また,MH-0の一部はトリグリセリドとして脂肪組織中へ取り込まれた.
3.モルモットではラットと同様にアミド結合が水解された代謝物を認めた.
4.イヌではアミド結合は水解されず,主たる代謝物はフェニル基の水酸化されたM-1およびM-2,そしてこれらの硫酸抱合体のM-3であった.
5.ONO-1078のアミド結合は,ラットおよびモルモットの肝ミクロゾーム分画で速やかに加水分解を受けた.また,ラット肝臓中に存在する水解酵素はcarboxylesteraseであると推定した.しかし,イヌでは肝ミクロゾーム分画において水解されなかった.
6.ラット肝ミクロゾーム分画にcarboxylesterase阻害剤の存在下,イヌの代謝物であるM-1およびM-2の生成を認めた.
7.経口投与後の血漿(あるいは血清)中放射能の蛋白結合率は,ラットでは97.1~98.9%,イヌでは76.1~84.1%であった.ONO-1078の蛋白結合率はラット,イヌ,ヒトのいずれの血清蛋白とも99.7%以上であった.
8.ヒト血清蛋白を用いた薬物相互作用の検討で,ONO-1078は併用を予想される他剤により蛋白結合率の変化を受けず,他剤の結合率にも影響を与えなかった.

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