2021 年 31 巻 p. 232-238
国立大学の個別試験問題は,記述式・論述式の出題が中心であり,思考力を様々な角度で検定できるようになっている。しかし,出題方法と採点方法の組み合わせにより,受験生の学力差を正確に評価する能力(判別能と呼ぶ)が異なる可能性がある。本学の試験では理数系の科目が中心になっているが,判別能について科目別・大問別の検証を行ったことはこれまでにはなかった。本研究では,数学,物理,化学について成績分布から,その判別能について検討を行った。その中でも,大問内での解答の「連動性」の大小および採点のきめ細かさが与える影響について検証し,連動性が大きな問題の場合,判別能が悪くなることを確認した。また,中間点の出し方,論述式の比率を考慮することにより,判別能が高くなる可能性が示唆された。