大学入試研究ジャーナル
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傾向スコアを用いた令和3年度共通テスト公民科目間差の試算
――国語・英語リーディング・英語リスニングを共変量に用いた場合――
荘島 宏二郎橋本 貴充宮澤 芳光石岡 恒憲前川 眞一
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2022 年 32 巻 p. 122-129

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抄録

令和3(2021) 年1月に実施された第1 回大学入学共通テストでは,公民3科目(現代社会,倫理,政治・経済)において得点調整が実施された。3科目の最大平均点差が20点以上つき,かつ,その差が試験の難易差に基づくと判断されたためである。しかし,公民3科目の受験者集団はそれぞれ別集団であり,3科目の平均差には受験者集団の学力差も反映している。本研究では,傾向スコアを用いて集団間の学力差を事後的に調整した上での科目間平均差(分布差)について報告した。分析の結果,18.7点あった科目間平均差が14.8点まで縮小した。したがって,令和3年度公民科目の難易差は大きく不揃いでなかったと言える。しかし,分析のときに採用した各種の仮定や条件を鑑みたとき,難易差が15点であると断定することはできず,現実に20点以上の平均差がついている状況下で,得点調整を行ったという判断は適切であったと思われる。

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