2024 年 34 巻 p. 182-189
本稿では,国公私立大学を対象にした入学前教育に関する質問紙調査の結果をもとに,高校生から大学生への円滑な移行,すなわち「高大トランジション」の達成に向けた入学前教育の課題を整理・考察する。調査結果から見えるのは,入学前教育の主たる目的が依然として「高等学校レベルの学力の補填」にあると考えられていること,限りある学内資源を投入しているにもかかわらず,有効に機能しているかをしっかり検証できているとは言い難いこと等である。設置区分や入学難易度などを超え,多様な学生達の力を伸ばしていくには,入試で評価した「主体的に学ぶ態度」の伸長に主眼を置いた入学前教育プログラムの提供とその成果の確認方法を確立する必要がある。