抄録
犬の埋伏歯の症例40頭の54カ所に対して、埋伏歯の原因や症状により、歯肉の切開、切除による開窓、外科的歯牙移動による矯正、歯牙の抜去などの治療を行い術後の経過を観察した。また、一部のものは治療せずに経過を観察した。生後1 年以内に、歯肉の切開や切除、外科的矯正など抜歯以外の保存的治療を行った26頭のうち、20頭 (76.9%) は良好な結果が得られた。犬の埋伏歯に対しては、乳歯は2~3カ月齢まで、永久歯は4~7カ月齢までのなるべく早期に発見し、必要に応じた処置を施すことが大切と思われた。また、欠如歯がみられた場合、埋伏歯と欠如歯とを鑑別するためX 線検査が必要である。