2001 年 10 巻 3 号 p. 149-152
ワクチン接種時に心雑音を指摘され、精査となった3カ月齢の犬が来院した。聴診により、全収縮期性の心雑音(Levine III/VI)が聴取された。胸部X線背腹像および側面像では、右心室の拡大、頭部ウエストの消失および肺血管陰影の増強が認められた。心エコー図検査により、左ー右短絡の単独の小さな心室中隔膜性部欠損が確認された。しかし、4カ月齢時の心エコー図検査で、短絡血流によるモザイクパターンは消失し、心雑音も聴取困難となった。心室中隔欠損は自然閉鎖し、症例は現在無投薬にて順調に経過している。犬における非観血的な心エコー図検査は、VSDの経時的な病態評価に非常に有用であると考えられた。