2003 年 11 巻 4 号 p. 175-180
避妊済み雌、3歳、去勢済み雄、4歳、去勢済み雄、3歳の3頭のフェレットが、尾端に生じた腫瘤が次第に大きくなってきたとのことで来院した。腫瘤はいずれも最後尾椎に発生しており、表面は無毛で光沢があり、硬く、痛みやかゆみの兆候は認められなかった。いずれの症例も、レントゲン検査で腫瘤の中心部に石灰化が認められた。第1例と第2例では経過観察中に腫瘤が徐々に拡大する傾向が認められたため、初診より3カ月後と10カ月後に、また第3例については初診から10日後に、それぞれ腫瘤を外科的に完全に切除した。症例1は術後18カ月、症例3は22カ月を経過した時点で、再発および転移の兆候は認められておらず、良好に推移している。症例2については切除後の来院がなく経過は不明である。切除した腫瘤を病理組織学的に検索した結果、3例ともに脊索腫と診断された。