動物臨床医学
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犬の末梢静脈血の血液ガス分析値の臨床応用への適応限界について
城下 幸仁山根 義久
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2004 年 13 巻 2 号 p. 61-65

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抄録

犬における末梢静脈血の血液ガス分析値の臨床応用への適応限界を提示するため、連続した61例の循環動態が維持された外来患犬より続けて採取した動脈血と末梢静脈血サンプルを用い、両者の血液ガス分析値を比較した。末梢静脈血は、安静時に横臥で駆血をせず、シリンジ内に空泡を混入せずに採取された。そのサンプルは、動脈血のpH,炭酸ガス分圧(Pco2)、重炭酸塩濃度([HCO3-]),塩基過剰(Base Excess、以下B.E.)値とかなりの相関を示したが(R2 = 0.56 - 0.79)、pHで動脈血値より有意に低く、Pco2で有意に高く、Po2で有意に低く、[HCO3-]で有意に高い値を示した。B.E.値は動脈血値と有意差なく臨床的にも差がないと考えられた。末梢静脈血のB.E.値は臨床目的に動脈血値と代用可能である。末梢静脈血サンプルの血液ガス分析値は、B.E.を除き、動脈血のおおよその値を推測するにすぎず動脈血値に代用できない。

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© 2004 動物臨床医学会
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