動物臨床医学
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ウサギの臼歯不正咬合発症の危険因子に関する一考察
強矢 治鶴岡 学久保田 真理中西 真紀子田川 雅代森 千秋斉藤 久美子
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2004 年 13 巻 3,4 号 p. 99-103

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抄録

ウサギの臼歯不正咬合の発生要因を検討するため,発症群137例,対照群345例について疫学的に調査するとともに,食餌内容に関するアンケート調査を行い,発症群34例,対照群58例より回答を得た。発症群の平均体重は対照群よりも有意に低く,体格の小さなウサギほど臼歯不正咬合を発症しやすい可能性があるものと思われた。臼歯不正咬合の罹患率は雑種で高く,ロップイヤー系品種で低い傾向にあった。雄は雌に比べて罹患率が有意に高かった。発症群の平均乾草摂取量は対照群と比較して有意に少なく,過去の記述と一致して,乾草摂取量が少ないことは臼歯不正咬合発症の危険因子となりうることが推察された。食餌指導により乾草の摂取量を十分確保させること,さらに雑種や雄,そして体格の小さな個体には,より厳密な食餌指導を行うことが,臼歯不正咬合の発症予防となり,または発症後の進行防止に役立つものと思われた。

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© 2004 動物臨床医学会
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