動物臨床医学
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ATP化学発光を用いた犬の皮膚感染症の評価と酸化チタンの抗菌活性
高橋 一誓桃井 康行森山 康司岩崎 利郎
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2006 年 15 巻 3 号 p. 65-71

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抄録

犬の皮膚に由来する細菌数をATP依存性化学発光を用いて測定した。健常犬および膿皮症の犬の皮膚から拭い液を採取しATP依存性化学発光を測定したところ,健常犬でも膿皮症犬の半分程度の化学発光値が得られ,相当数の細菌が存在することが明らかとなった。同じ拭い液を使ったコロニー形成試験では,健常犬ではほとんどコロニーは形成されなかったが,膿皮症犬では多くのコロニーが形成され,主にStaphylococcus が増殖していることが明らかとなった。また,化学発光による定量法を利用して,TiO2の膿皮症の治療への応用について検討した。その結果,TiO2はUV照射により犬の皮膚由来細菌を殺菌することが明らかとなった。またマラセチアや犬由来培養細胞株に対しては,殺菌,殺細胞作用はほとんど見られなかった。実際に犬の皮膚にTiO2を塗布しUV照射したところ細菌数は減少し,TiO2は外用剤として犬膿皮症の治療に応用できる可能性が示唆された。

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© 2006 動物臨床医学会
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