動物臨床医学
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Case Report
ミニチュアダックスフントで確認されたSILV遺伝子へのSINE insertionを有した雑種犬の1例
今本 成樹渡邊 將人射場 満今本 三香子梅山 一大
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2011 年 20 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
犬の毛色には複数の遺伝子が関与している。毛色に関与する遺伝子が複数確認されており,犬種によっては,毛色関連遺伝子の遺伝子検査も実際されている。将来的には遺伝子検査を用いることで,望んだ毛色を高い確率で作り出すことが可能となるであろう。
 毛色に関与する遺伝子の一つであるSILVPmel17)遺伝子に対して短い分散型核内反復配列(short interspersed nuclear element;SINE)挿入が起こることで大理石模様の個性的な毛色を作り出す。一方で眼疾患,難聴等の身体的異常をしばしば引き起こす毛色であることも知られている。しかしながら外観だけでは判断できない隠れマールと呼ばれる個体がいることが知られている。
 隠れマールは意図しない仔犬を作り出す原因となってきた。今回我々は,表現型としてマールの毛色を有していない雑種犬に対して眼底検査を実施し,SILV遺伝子へのSINE 挿入を持つ犬に特有の眼底所見を得た。そこで,この犬から遺伝子を採取し遺伝子検査を実施したところ,SILV 遺伝子へのSINE 挿入が確認された。マール因子を確認するためには,眼底検査と遺伝子検査の併用は強力な診断ツールとなる。
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© 2011 動物臨床医学会
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