2011 年 20 巻 1 号 p. 13-17
(財)鳥取県動物臨床医学研究所は鳥取県中西部において保護される傷病野生鳥獣の治療を行っており,今回過去10年間に搬入された傷病野生鳥獣のうち,タヌキに注目して疥癬罹患状況の調査を行った。タヌキの保護要因としては,交通事故が原因と思われる骨折や外傷が多くみられたが,疥癬に罹患したタヌキも2003年に初めて搬入され,その後も2005年2頭,2006年5頭,2007年4頭,2008年2頭の計14頭が搬入された。月別でみると,タヌキの搬入頭数は3月と9月に多く認められたが,疥癬罹患タヌキはそれらとは少しピークがずれた晩春や秋から冬にかけて搬入された。また,岐阜大学応用生物科学部の野生動物管理学研究センターに搬入された疥癬罹患タヌキの傾向と比較したところ,当研究所および岐阜県の当該施設において,搬入された疥癬罹患タヌキは2008年までは似た形で推移した。