抄録
デジタル聴診器の普及により心音の記録および視覚化が可能となった。そこで,本研究では心音と僧帽弁閉鎖不全症(MR)の重症度の関係について検討した。健常犬7頭とMR犬20頭を供試し,第1音の第2音に対する周波数比(心音周波数比)と,左心房・大動脈径比(LA/Ao),拡張早期流入速度(E波)および僧帽弁後尖弁輪付着部の移動速度比(E/E’)の関連性を評価した。心音周波数比は,LA/Ao,E波およびE/E’とそれぞれ相関性がみられた(p<0.01)。心音を解析することで,従来の心音図検査と比較してMRの重症度をより定量化することが可能であり,小動物臨床におけるデジタル聴診器の使用は有効であると思われた。