抄録
失明犬の歩行を補助する装置を,様々な犬種の頭部に対応できるよう改良し,より有用性の高い歩行補助装置の製作を試みた。飼い主の協力を得られた大型犬を含む計6頭の失明犬に,それぞれ製作した歩行補助装置を装着し,歩行の様子を観察した。装置を使用後,飼い主には自宅での使用感について評価をしてもらった。顔周りに固定するスヌードは,顎の下で留める部分を二カ所に分け,耳後ろの長さを変えることで6頭中5頭で頭部にしっかり固定できた。また犬種ごとの頭部の特徴を比較したところ,犬の耳前部から頸部にかけての角度が90度に近いほど,装置を良好に装着できることがわかった。さらに,被毛の質もスヌードの固定に影響することがわかった。市販の材料で安価で容易に製作することができたが,今後の課題として,特に大型犬に対して触角部分の素材と構造の検討が必要と考えられた。