動物臨床医学
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23 巻, 2 号
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特別寄稿
原著
  • 新田 牧子, 湯木 正史
    2016 年 23 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    腫瘍に罹患した犬164例と,健常犬26例の血液検査所見(全血球算定および血液化学検査)について,比較検討を行った。全血球算定では,独立円形細胞系腫瘍,血管肉腫,リンパ腫で赤血球数の有意な減少がみられた。悪性上皮系腫瘍,悪性間葉系腫瘍,独立円形細胞系腫瘍,悪性黒色腫,血管肉腫,リンパ腫でHb,PCVの有意な低下がみられた。悪性上皮系腫瘍,悪性間葉系腫瘍,独立円形細胞系腫瘍,悪性乳腺腫瘍,血管肉腫,リンパ腫で総白血球数および分葉核好中球数の有意な増加がみられた。悪性上皮系腫瘍で血小板数の有意な増加がみられた。血管肉腫で血小板数の有意な減少がみられた。血液化学検査では,悪性上皮系腫瘍,悪性間葉系腫瘍,独立円形細胞系腫瘍,悪性乳腺腫瘍,肥満細胞腫でGlb,ALP,Ca,CRPの有意な上昇がみられた。リンパ腫でLDHの有意な上昇がみられた。腫瘍の診断において,血液検査所見が診断の一助となる可能性が示唆された。
  • ~犬種ごとの頭部の形状に着目して~
    水越 美奈, 奥村 夏美, 池垣 香織, 余戸 拓也
    2014 年 23 巻 2 号 p. 66-71
    発行日: 2014/06/20
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    失明犬の歩行を補助する装置を,様々な犬種の頭部に対応できるよう改良し,より有用性の高い歩行補助装置の製作を試みた。飼い主の協力を得られた大型犬を含む計6頭の失明犬に,それぞれ製作した歩行補助装置を装着し,歩行の様子を観察した。装置を使用後,飼い主には自宅での使用感について評価をしてもらった。顔周りに固定するスヌードは,顎の下で留める部分を二カ所に分け,耳後ろの長さを変えることで6頭中5頭で頭部にしっかり固定できた。また犬種ごとの頭部の特徴を比較したところ,犬の耳前部から頸部にかけての角度が90度に近いほど,装置を良好に装着できることがわかった。さらに,被毛の質もスヌードの固定に影響することがわかった。市販の材料で安価で容易に製作することができたが,今後の課題として,特に大型犬に対して触角部分の素材と構造の検討が必要と考えられた。
症例報告
  • 伊原 未恵, 角野 弘幸, 北尾 貴史, 北尾 哲
    2014 年 23 巻 2 号 p. 72-75
    発行日: 2014/06/20
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    卵巣子宮全摘出済みの15歳の猫で,骨盤腔内尿道狭窄に起因した排尿障害がみられ,恥骨骨切り術により尿道の一部に硬結狭窄病変を確認した。約1cmにわたる硬結狭窄部位を含む尿道を約2cm切除するとともに,尿路形成として卵巣子宮全摘出後の子宮切除断端縁を再開口させ尿道膣吻合術を実施した。切除した病変部位は尿道内腔を狭窄しており,病理組織学的検査により尿道移行上皮癌と診断された。尿路形成後は排尿障害の臨床徴候は改善され,術後6カ月に腎不全により死亡するまで膀胱炎や閉塞性腎不全の症状はみられず,QOLの向上を得ることができた。
  • 宮本 忠, 嶋田 恵理子, 木村 唯, 角本 舞, 宮本 明奈, 鳩谷 晋吾
    2016 年 23 巻 2 号 p. 76-78
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    メチシリン耐性(MR)Staphylococcus intermedius group (SIG)の世界的な急増が犬と猫で問題になっているが,これまでフェレットにおけるMRSIGの分離報告例はない。今回,4歳齢,去勢雄のフェレットが排尿回数の増加と血尿を主訴に来院し,尿からMRSIGが分離された。このMRSIGはクラブラン酸・アモキシシリン,セファレキシン,セフジニル,エリスロマイシン,クリンダマイシン,ゲンタマイシン,オフロキサシン,ホスホマイシンに耐性で,ドキシサイクリンとクロラムフェニコールに感受性であった。本症例はエンロフロキサシンの投与では治癒させることができなかったが,ドキシサイクリンの投与にて完治させることができた。フェレットにおいても薬剤耐性菌の存在に留意する必要があると考えられる。
  • 大鋸谷 光, 片山 泰章, 佐藤 龍也, 河又 淳, 岡村 泰彦, 島村 俊介, 宇塚 雄次
    2014 年 23 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2014/06/20
    公開日: 2016/02/06
    ジャーナル フリー
    6歳齢,去勢済み雄のアメリカンショートヘアが左腎の水腎症を主訴に岩手大学動物病院に来院した。X線検査および超音波検査により左腎の腎盂・近位尿管の拡張,右腎盂に結石を認めた。左尿管の閉塞を疑い静脈性尿路造影を実施したが,良好な造影像を得られなかった。そこで左腎に対して順行性腎盂造影を行なったところ,尿管結石の検出およびその正確な位置の特定が可能であったため,尿管切開術による尿路結石の除去を実施した。現在,術後約1年が経過するが,排尿状態に問題はなく,良好な経過が得られている。尿管結石症の診断と位置の特定に,順行性腎盂造影は有効であると考えられた。
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