2014 年 23 巻 3 号 p. 115-118
8才の雑種のウサギが全身の鱗屑,脱毛,両側眼球突出,呼吸困難を主訴に来院した。各種検査により,縦隔領域には胸腺腫の発症が疑われ,全身の皮膚は腫瘍随伴症による脂腺炎の発症と診断された。飼い主は皮膚症状に対する治療のみを希望されたため,犬の脂腺炎治療を参考にシクロスポリンを中心とした対症療法を行ったところ,2カ月後,胸腺腫のサイズ縮小が認められ,眼球突出,呼吸困難は改善された。ウサギの胸腺腫に対しては,外科療法,放射線療法,化学療法が選択されるが,本症例はシクロスポリンを中心とした投薬によって胸腺腫を縮小させる可能性を示した。