抄録
3カ月前からの頻回の粘血便および嘔吐を主訴に来院した9歳の犬において,腹部触診にて腫瘤を触知した。超音波検査およびCT検査を行ったところ,下行結腸において腫瘤病変が認められ,外科的切除を行った。病理組織検査において低分化型リンパ腫と診断されたため,UW25プロトコールに沿った多剤併用化学療法を開始した。第210病日に化学療法を終了とし,第449病日にCT検査を実施したところ,明らかな再発は確認できず経過は良好である。結腸および直腸のリンパ腫の予後はその他消化管に発生するものと比べて非常に良いと報告されており,本症例においても過去の報告と同様に長期の生存期間が得られている。