動物臨床医学
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症例報告
ウサギの急性胃拡張のリスク評価におけるX線検査での大動脈径測定の有用性
岡村 健作樋口 悦子
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2016 年 25 巻 1 号 p. 16-20

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抄録

胃腸運動鬱滞による急性胃拡張に罹患したウサギは,激しい疼痛とショック症状に陥り,治療を施すも斃死に至るケースがある。致死的リスクを判断することは困難で,来院時に容易にこれを判断できるようになることは非常に有益となる。今回,致死的リスクを高感度に検査できる方法を検討するため,本疾患に罹患したウサギ28羽(回復群23羽,死亡群3羽,救命群2羽)と健常ウサギ33羽に関して研究を行った。来院時のX線画像において死亡群の大動脈径は回復群に比べて有意に縮小していた。健常群の検討から,大動脈径は体重と中等度の相関があることが示唆された。救命群では縮小していた大動脈径が治療後に体重相当にまで回復したことから,X線大動脈径測定が最も信頼性の高いリスク評価検査である事が示唆された。この病態は,ショックによる低血圧に続く,大動脈圧受容器の反射による動脈の収縮が関連している可能性があると考えられた。

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