動物臨床医学
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症例報告
結膜に生じた扁平上皮乳頭腫の犬の1例
佐藤 和昭金井 一享畑井 仁古林 与志安山下 洋平木村 祐哉伊藤 直之
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キーワード: 結膜, , 扁平上皮乳頭腫
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2016 年 25 巻 3 号 p. 105-108

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抄録

乳頭腫には,パピローマウイルス性と非ウイルス性起因が考えられている。犬の結膜乳頭腫に関する報告は非常に少ないが,その中でも多くがパピローマウイルスとの関連性が示されており,非ウイルス性乳頭腫(扁平上皮乳頭腫)の報告は1報のみである。今回,左眼の球結膜に腫瘤が認められた犬(チワワ,未避妊雌,9歳11カ月齢)において,腫瘤を外科的に切除するとともに,摘出組織の病理組織学的検査を行い,扁平上皮乳頭腫と診断した。しかし,ウイルス感染でしばしば観察される空胞変性が一部上皮にみられたため,抗ウシパピローマウイルス抗体を用いた免疫組織学的検索を行ったが,ウイルス抗原は検出されなかった。結膜乳頭腫において,一般的に病理組織学的検査よりウイルス性乳頭腫と非ウイルス性乳頭腫の鑑別は可能であるが,本症例のようにウイルス性起因が一部疑われる症例に対してはウイルス学的検索が補助診断に重要となると考えられた。

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