2016 年 25 巻 3 号 p. 97-100
猫の若年性歯周病は乳歯列から永久歯列への交換の時期に始まる歯肉・歯周炎であり,過形成性歯肉炎と若年性歯周炎に大別される。本症例は発症が4.5カ月齢時で,重度の歯肉炎や歯周炎がみられたことから若年性歯周炎と診断し,抗生剤やステロイドなどによる一般的な内科的治療を実施したが奏功しなかった。歯肉炎を起こし歯肉後退を起こした部分と,それに続く健康な歯を含めた全臼歯抜歯を実施したところ症状の軽快を得た。本症例により,第一選択の治療であるスケーリングや,ステロイド剤や抗生物質などの内科的治療に反応が見られない症例に対して,全臼歯抜歯が有効な治療法であることが示された。