動物臨床医学
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原著
スルメイカを摂食した犬猫の血漿中クレアチニン濃度がDRI-CHEMによる測定において上昇する原因の検討
丹野 翔伍髙島 一昭山根 剛高吉 尚子浦野 光山根 義久
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2017 年 26 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

我々はこれまでにスルメイカを多量に摂食した猫の多くが嘔吐を呈し,また摂食後の血中クレアチニン(Cre)濃度が富士フイルムメディカル株式会社製のDRI-CHEM7000V(DRI-CHEM)を用いて測定すると一過性に上昇することを報告した。一方,同検体をDRI-CHEMとは測定原理の異なるキノン色素法で測定したところ,血中Cre濃度の上昇は認められず,DRI-CHEMでは偽の血中Cre濃度の上昇が生じることも明らかにした。今回,同様の現象が犬においても生じるか検討したところ,偽の血中Cre濃度の上昇は犬においても確認されたが,猫と異なり嘔吐は認められなかった。さらにイオンクロマトグラフィー法を用いて血中の低分子アミンの解析を行ったところ,スルメイカ摂食後の犬猫でともに,血中ジメチルアミン(DMA)の増加が確認された。このことからDMAがDRI-CHEMでの血中Cre濃度の測定結果に正の影響をおよぼした原因物質であると考えられた。乾燥スルメイカ摂食後の血中DMAの上昇は,乾燥スルメイカ中に多量のDMAが含有されていることが主な原因と考えられた。

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