2018 年 27 巻 1 号 p. 29-34
膝蓋骨内方脱臼(MPL)グレード2あるいは3と診断された小型犬10頭(14関節)において大腿脛骨アラインメント整復法の一つである関節外制動術(LS)の脛骨抗内旋効果について検討した。CT多断面再構成像を用いた術前の大腿骨と脛骨の形態評価としてanatomical lateral distal femoral angle(aLDFA),inclination of the femoral head angle(IFA),anteversion angle(AA),mechanical medial proximal tibial angle (mMPTA),tibial torsion angle(TTA)を,また大腿脛骨アラインメントの経時的評価としてquadriceps angle(QA)を測定した。すべての症例の後肢骨格に重度の骨変形は認められず,LSの抗内旋効果は術後2カ月以降も維持された。LSは膝蓋骨脱臼グレード2あるいは3の脛骨骨格変形が軽度なMPL罹患小型犬において有効な整復法の一つとなりうる可能性が示唆された。