動物臨床医学
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肺水腫を呈した僧帽弁閉鎖不全症犬におけるピモベンダン投与開始後の生存期間に関連する予後因子の検討
才田 祐人北野 寿才田 乃路子矢田 新平
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2018 年 27 巻 3 号 p. 112-117

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抄録

うっ血性心不全を呈する僧帽弁閉鎖不全症(MR)の犬において,予後指標となりうる心臓超音波検査パラメータが報告されている。しかしながら,急性肺水腫の犬において,直ちに検査を実施することが困難な場合もある。そこで,肺水腫を呈したMR犬において,ピモベンダン開始後の生存期間と関連する心臓超音波検査以外の予後因子について回顧的に調査した。肺水腫を呈したMR犬25頭が調査対象となった。ピモベンダン開始時の発咳(P < 0.01),心雑音の強度(P < 0.01),びまん性肺水腫の有無(P < 0.05)およびピモベンダン開始前の利尿薬投与期間(P < 0.05)は,生存期間と有意に関連した。また,びまん性肺水腫を呈した個体群の生存期間は,非びまん性肺水腫を呈した個体群と比較し有意に短縮していた(それぞれ219および883日; P < 0.01)。したがって,これらをピモベンダン開始後の予後因子として考慮する必要がある。

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