動物臨床医学
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原著
出血傾向を伴わずに活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)が単独延長した猫の3例
福岡 玲安田 和雄鬼頭 克也
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2019 年 27 巻 4 号 p. 144-147

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抄録

猫に無症候性凝固障害が存在することを確認するため,動物病院に来院した臨床的に健康な猫44頭を対象に,ドライ式血液凝固分析装置(COAG2NV)を用いて検査を実施した。検体にはクエン酸血漿を用い,プロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),血漿フィブリノゲン濃度(Fib),トロンボテスト(TB),へパプラスチンテスト(HPT)の5項目を測定した。PTの参考値範囲は9.1~10.7 sec,TBは18.7~25.5 sec,HPTは16.1~24.0 secであった。Fibでは高濃度の2検体が除外され,参考値範囲は66.8~203.1 mg/dlとなった。APTTでは,重度に延長していた2検体を除外し,参考値範囲は21.6~58.8 secであった。なお異常値の3検体はいずれも第Ⅻ因子活性が著しく低下していた。猫に無症候ではあるが,APTT延長症例が存在することを確認した。

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