動物臨床医学
Online ISSN : 1881-1574
Print ISSN : 1344-6991
ISSN-L : 1344-6991
症例報告
肝脾T細胞リンパ腫との鑑別に苦慮した脾臓原発T細胞リンパ腫の猫の1例
神田 拓野 小路 裕樹岸田 藍岸田 康平大下 航川北 智子平尾 礼示郎小田 愛多田 勇太下田 哲也
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 32 巻 3 号 p. 89-95

詳細
抄録

13歳の避妊済猫が脾腫と貧血の精査を目的に紹介来院した。血液検査では貧血に加え血小板減少症とリンパ球増加症を認め,末梢血液塗抹では中型から大型のリンパ球が著しく増加していた。リンパ球クローナリティ解析,脾臓と肝臓の病理組織検査,骨髄検査,免疫染色,細胞表面マーカーの各所見より,白血化と肝浸潤を伴う脾臓原発T細胞リンパ腫と診断した。肝脾T細胞リンパ腫との鑑別のため免疫表現型を検索した結果,同疾患は否定された。症例は脾臓摘出後のロムスチン投与に一定の反応を示したが,第162病日に死の転帰を取った。

著者関連情報
© 動物臨床医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top