抄録
DNAメチル化修飾は、胎児期に活発に作られ、その後、作られたメチル化修飾パターンが安定して保持され遺伝子発現に影響するなどの性質から、Developmental Origins of Health and Disease(DOHaD)の分子機構の一部になっている可能性がある。また、DNAメチル化修飾制御の異常により、成長や肥満の症状や表現型が顕著に現れることが知られている。DNAメチル基転移酵素であるDNMT3Aの遺伝子突然変異によりTatton-Brown-Rahman症候群が発症し、過成長や肥満などが引き起こされる。また、マウスにおいてDnmt3aヘテロ欠損や視床下部室傍核特異的な欠損は、肥満を誘導する。本総説では、DNAメチル化修飾とDOHaDとの関係を推測させる報告を紹介しながら、DNAメチル化修飾がDOHaDの分子機序として働いている可能性について考えたい。