DOHaD研究
Online ISSN : 2187-2597
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最新号
2024年度論文号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 発達神経毒性メカニズムと動物モデルの統合的考察
    久保 明澄, 神谷 沙羅, 樋口 浩輝, 中村 賢佑, 左中 彩恵, 佐々木 哲也
    2025 年13 巻1 号 p. 1-12
    発行日: 2025/03/11
    公開日: 2025/03/11
    ジャーナル フリー
    自閉スペクトラム症(ASD)の発症率は近年増加傾向にあり、最新の推定では米国で約2.7 %(1/36)の子どもがASDとされている。ASDの原因は複雑で、遺伝的要因と環境要因の相互作用によって引き起こされると考えられている。環境要因の中でも、抗てんかん薬として広く使用されているバルプロ酸(VPA)の胎生期曝露が、ASDリスクを増加させることが疫学研究で示されており、そのメカニズムの解明は重要な研究課題となっている。本総説では、VPA曝露とASDの関連について、発達神経毒性メカニズムと動物モデルを中心に統合的に考察した。VPAの発達神経毒性は多面的であり、エピジェネティックな修飾、神経幹細胞の増殖・分化、シナプス形成、神経伝達物質システムなど、広範な影響を及ぼす。これらの変化は、ASDで観察される行動異常や神経学的特徴と密接に関連していると考えられる。VPA曝露ASDモデル動物は、ヒトのASDに類似した行動異常と神経学的変化を示し、ASDの病態メカニズムの解明に重要な役割を果たしている。VPAなどの特定の環境要因がASDの原因となるケースは全体の一部であるが、これらの研究は予防可能なリスク因子の特定やASDの病態メカニズムの理解に重要な貢献をする。今後の研究課題としては、遺伝と環境の相互作用のメカニズム解明、エピジェネティクス研究の発展、環境要因の時間依存性と用量依存性の詳細な解析、動物モデルの知見のヒト研究との統合、個別化医療への応用、新規治療法の開発などが挙げられる。これらの研究を通じて、ASDの複雑な病態メカニズムがより深く理解され、効果的な予防法や治療法の開発につながることが期待される。
  • 西郡 秀和, 鈴木 妙子, 西郡 俊絵, 森 美由紀, 篠原 好江
    2025 年13 巻1 号 p. 13-25
    発行日: 2025/03/14
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー
    【目的】Developmental Origins of Health and Disease (DOHaD) 学説と日本の出生コホート研究の最新成果について、周産期医療に関わる助産師等の看護職の認知度と、看護職が考える望ましい啓発方法を明らかにすることを目的とした。 【方法】日本の出生コホート研究のひとつである「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に調査協力している3医療施設と1大学で調査を行った。エコチル調査成果は、我々が任意に選択した38編の論文(テーマ)概要を紹介した。調査は2023年3月~6月に実施した。 【結果】研究参加人数は、エコチル調査の協力医療施設で研究協力または被験者で参加した看護職(協力参加あり群)39人、エコチル調査等に協力・参加した経験のない看護職(協力参加なし群)49人、大学助産師養成課程の学生18人。DOHaD学説を知らなかった割合は、協力参加あり群56.4%、協力参加なし群63.3%、学生66.7%であった。エコチル調査成果を全て知らなかった割合は、協力参加あり群71.8%、協力参加なし群81.6%、学生88.9%であった。エコチル調査成果を3テーマ以下しか知らなかった(全て知らなかったを含む)割合は、協力参加あり群94.9%、協力参加なし群93.8%、学生100%であった。上記すべての質問項目における認知度は、協力参加あり群と協力参加なし群のロジスティック回帰分析による比較では、有意差はなかった。参加者全体の意見で望ましい啓発方法の上位3つは、病院での研修会(84.9%)、地域での研修会(60.4%)、医療系誌(50.9%)であった。 【結論】エコチル調査の協力医療施設で周産期医療に関わる看護職の約6割がDOHaD学説を知らず、9割以上がエコチル調査成果を「全て知らない」あるいは「1~3テーマ」しか知らなかった。看護職の意見として最も望ましい啓発方法は「病院での研修会」であった。
  • 久保 明澄, 佐々木 哲也
    2025 年13 巻1 号 p. 26-33
    発行日: 2025/03/14
    公開日: 2025/03/14
    ジャーナル フリー
    第12回日本DOHaD学会学術集会が2024年10月13日から14日にかけて北海道大学学術交流会館で開催された。「ワンヘルスにおけるDOHaDを考える」をテーマに、人間、動物、環境の健康を統合的に捉えるワンヘルスアプローチとDOHaDの概念を結びつけた多様な研究発表が行われた。藏内勇夫による基調講演「ワンヘルスというコンセプトに基づく社会」では、人獣共通感染症や薬剤耐性菌の問題など、現代社会が直面する健康課題について論じられた。続くシンポジウムでは、環境化学物質の影響、医療者教育の再構築、妊婦の体重管理、畜産分野でのDOHaD応用など、多角的な議論が展開された。優秀演題賞候補セッション、一般演題発表を通じて、DOHaDとワンヘルスの統合的アプローチの重要性が強調され、今後の研究方向性について示唆に富む議論が展開された。筆者(久保)は、初めての学会参加であったが、世界的な研究者、次世代を担う若い世代の研究者の学会発表を聴講し、大変貴重な経験となった。この経験を今後の研究活動や学会発表に活かしていきたいと考えている。
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