抄録
「環境と子どもの健康に関する北海道スタディ(通称、北海道スタディ)」は、アウトカムの内容、観察時期、採血時期、及び人数が異なる2つの前向き出生コホートである札幌コホートと北海道コホートから成り立つ。本論文の目的は、これまでの北海道スタディの研究成果をまとめ、将来の方向性を示すことである。母体血と臍帯血は、PCB・ダイオキシン類等の環境化学物質と喫煙や飲酒等の生活に関連する物質を曝露評価するために収集された。また、出生時体格、生後発育、喘息、アレルギー、感染症、精神神経発達、及びホルモンに関する健康アウトカムの評価もおこなった。北海道スタディの研究成果は、妊娠中の環境化学物質及び生活に関連する物質の曝露によって出生アウトカム、ホルモン濃度、アレルギー、感染症、及び精神神経発達の遅れに影響を与えることを示唆する。さらに、特定の遺伝型は化学物質の曝露による健康影響を変え、エピゲノムは生物学的メカニズムの一部を説明できる可能性がある。