抄録
胎生期の低栄養により倹約型体質として生まれた児は、獲得した体質と生後の栄養環境とのミスマッチにより疾患発症リスクが高まると考えられている。しかし倹約型体質の表現型の詳細については明らかではない。そこで、我々は胎生期低栄養倹約型モデルラットを作出し、倹約型体質の理解を目的として低糖質摂取エネルギー制限食を摂餌させた母から生まれた低出生体重モデルラット (LBW) を作出した。LBWの一部に離乳期までに成長が追いつかない短体長低体重ラットが生じた。この機序としてmicroRNAの一種であるmiR-322の発現量の増加による成長ホルモン (GH) 受容体の発現量の低下が関与することを明らかにした。さらに、LBWは追いつき成長の有無にかかわらず、ストレス負荷後の血中コルチコステロン濃度が長時間高いレベルで持続することを明らかにした。そして、我々はこの機序として下垂体におけるGas5 lncRNA発現量の増加とmiR-449aの発現が誘導されないことが、下垂体でのグルココルチコイドのネガティブフィードバック調節の障害の原因の1つであることを明らかにした。さらに、絶食−再摂食の実験から、LBWの骨格筋は絶食で痩せやすく、脂肪が燃焼しにくい体質である可能性を示した。以上の結果から、モデルラットの倹約型体質とは絶食により痩せやすい骨格筋と燃焼しにくい脂肪組織からなるサルコペニア肥満様の体組成を有することであると考えた。そして、これらの体組成の変化が非感染性慢性疾患の疾患発症リスクを高めている可能性が示唆された。