1988 年 59 巻 4 号 p. 403-409
肥培管理により土壌バイオマスレベルの異なる畑土壌の土壌呼吸速度を測定し、土壌呼吸速度が土壌バイオマスの簡便な指標となりうるかについて検討した。得られた結果は以下のとおりである。1) in situ 条件下で測定した土壌呼吸速度は土壌中のATP量と高い正の相関(r=0.76、n=36、p<0.001)を有した。2)室内培養下(25℃)で測定した土壌呼吸速度はATP量と正の相関は認められたが、その相関係数(r=0.46、n=36、p<0.01)は低かった。室内培養下およびin situ 条件下で測定した土壌呼吸速度の間には有意な相関は認められなかった。これらの原因としては有機資材施用直後の室内培養下の土壌呼吸速度の変動がin situ条件下の土壌呼吸速度およびATP量の変動と異なることと室内培養下では土壌水分含量等が土壌呼吸速度に影響を及ぼしていることが考えられた。以上の結果からin situ条件下における土壌呼吸速度は土壌バイオマスの簡便な指標となりうると考えられた。