日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
酸性雨の土壌による中和機構
吉田 稔川畑 洋子
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キーワード: 土壌, 酸性雨, 中和, 中和機構
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1988 年 59 巻 4 号 p. 413-415

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抄録

最近のわが国各地の観測値からみると、酸性雨による土壌の酸負荷量は年間10a当たり200~20当量と推定できる。それに対する土壌の酸中和能を解析して4種類に分け、それぞれの要素をあげた。モデル実験として粘土鉱物試料を1/100 N HClで処理し酸中和能を調べた。中和能の最も大きいのはアロフェンで、その要素は酸吸着とAl酸化物の溶解である。各種土壌を用いた実験では、黒ボク系土壌はAl化合物による酸中和能が大きく、その結果としてAl^<+13>を溶出しやすい傾向を認めた。わが国の農耕地は従来から炭酸カルシウム施用を必要としており、酸性雨対策として炭酸カルシウム施用量を増加することが必要となる。農耕地以外は対応する手段を考えにくく、発生源に対する適切な制御が重要である。

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© 1988 一般社団法人日本土壌肥料学会
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