1993 年 64 巻 4 号 p. 417-422
稲わら堆肥の養分の残効を検討するため,24年間の22作にわたって稲わら堆肥を20 Mg ha^<-1>施用した堆肥連用区と無施用区の四要素区,無窒素区,無リン酸区,無カリ区の作土をそれぞれ1/5000aポットに充填し,チンゲンサイを6作栽培した.1)各要素の残効はほぼ6作までみられたが,養分の残効が明瞭であったのは窒素が第3作,リンが第5作,カリが第2作までであった.2)堆肥残効の無窒素区の可給態窒素,無リン酸区の形態別リン酸含量は6作経過しても大幅な減少はみられず,窒素とリンの残効は持続すると考えられた.3)堆肥残効・無カリ区の交換性カリ含量は作数の経過とともに低下し,カリ吸収量の減少も著しく,第3作以降,葉身が黄化するカリ欠乏症状が発生し,カリの持続的な残効は窒素,リンに比べ劣った.