日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
シグモイド型被覆尿素側条施肥によるダイズの増収効果
高橋 能彦土田 徹大竹 憲邦大山 卓爾
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キーワード: ダイズ, 被覆尿素, 窒素固定
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2003 年 74 巻 1 号 p. 55-60

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抄録
1)ダイズ根粒の窒素固定依存率は最繁期(R3)を頂点とする放物線型をなした。根粒活性の硝酸に対する感受性は最繁期まで明確に認められるが,最繁期以降は植物体としては硝酸吸収による窒素固定の阻害は認められない。したがって,最繁期以降の肥料窒素供給はダイズの窒素固定と調和する。2)ダイズの最繁期以降に溶出が開始される窒素肥料として,施用後一定期間溶出が抑制されるシグモイド型被覆尿素を選定した.溶出タイプは基肥施用の場合はCUS120,培土期追肥ではCUS60が適当であった。3)慣行区に対して基肥CUS120,追肥CUS60両区とも窒素固定依存率に差は認められず,施肥による根粒の活性阻害はなかった.CUS施用両区では生育後半で葉色の退色が抑制された。慣行区収量439gm^<-2>に比べて,CUS120区は10%増収,CUS60区は19%増収し,品質も低下しなかった。4)現地農家の実証試験でも慣行区370gm^<-2>に対し,CUS60の追肥は21%増の449gm^<-2>を得ることができ,子実の粗タンパク質含有量は増加した。
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© 2003 一般社団法人日本土壌肥料学会
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