2003 年 74 巻 2 号 p. 169-174
重金属蓄積能力が高いカラシナと高バイオマスであるトウモロコシを用いて,銅添加土壌からの銅の効率的な除去に対する添加剤の効果を検討した。供試した栽培土壌への銅添加量は,可給態銅量を同じくらいに設定するため,マサ土では25μg g^<-1>,黒ボク土では250μg g^<-1>とした。1)EDTA,クエン酸,硫酸アンモニウムの中で,植物の銅吸収量を高める添加剤としては,EDTAが優れていることが確認された。2)植物栽培中に土壌にEDTAを添加し,植物による地上部銅蓄積量に対するEDTAの効果について検討した。黒ボク土の場合,100mMのEDTA添加によって,トウモロコシの地上部銅蓄積量は無添加の3.7倍になった。一方,カラシナでは地上部銅蓄積量に対するEDTAの効果はみられなかった。植物の地上部銅蓄積量に対するEDTAの効果は,本試験においては,添加濃度だけでなく,植物種によっても変動した。