種皮褐変障害の発生に関連してほ場調査を行い,ソラマメのカルシウム含有率と土壌化学性との関係を検討し,ソラマメのカルシウム吸収に影響を与えている土壌要因を明らかにした.子実肥大期までに採取した植物体試料のカルシウム含有率は,土壌のEC,硝酸態窒素含量および交換性カリウム含量との間に負の相関があり,硝酸態窒素や交換性カリウムが高いことが,ソラマメのカルシウム吸収を抑制していると考えられた.収穫期以降は土壌の硝酸態窒素や交換性カリウムは低下し,ソラマメのカルシウム吸収に対する影響もなくなり,土壌の交換性カルシウム含量とソラマメのカルシウム含有率との間に正の相関がみられるようになった.しかし種皮褐変障害の発生に,より強く影響を与えている土壌要因は,高い硝酸態窒素含量や交換性カリウム含量であると推測された.