日本土壌肥料学雑誌
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アブラナ科野菜根こぶ病菌休眠胞子密度測定法の改良
篠田 英史村上 圭一後藤 逸男
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2003 年 74 巻 3 号 p. 287-291

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抄録

アブラナ科野菜根こぶ病の防除対策を構築する上で土壌中の休眠胞子密度を測定することが重要である.同測定法としては高橋・山口の方法が一般的となっているが,黒ボク土壌およびその下層土中に添加した休眠胞子の回収率を測定した結果,満足すべき値が得られなかった.このような回収率の低下は陰電荷を有する休眠胞子が陽電荷を多く含むアロフェン質土壌に電気的に吸着されたことに起因すると考えられた.そこで,ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を土壌分散液として用い,土壌懸濁液のpHを9まで高めて,超音波処理を施した結果,ほぼ満足すべき回収率が得られた.改良した休眠胞子密度測定法は下記のとおりである.風乾細土20gに2.0g L^<-1>ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液400mLを加え,1分間強振する.1.0mol L^<-1>水酸化ナトリウム溶液を加えpHを10とした後,超音波処理(180W・5分間)を施す.再度pHを9以上に調製後,1分間強振して均一な土壌懸濁液とする.その40mLを38μmの小型節を通して,水で洗い込み100mLとする.その液と等量の発色液(200mg L^<-1>カルコフルオールホワイトM2R・100mg L^<-1>臭化エチジウム)を添加した後,落射蛍光顕微鏡下で休眠胞子を計測する.

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© 2003 一般社団法人日本土壌肥料学会
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