日本土壌肥料学雑誌
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ニンジン作の窒素収支と土壌溶液中硝酸態窒素濃度に及ぼす有機質資材施用と土壌タイプの影響
三浦 憲蔵西尾 隆
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2004 年 75 巻 4 号 p. 459-465

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抄録

厚層黒ボク土,淡色黒ボク土,黄色土および灰色低地土の4土壌についてニンジンヘの養分供給量が概ね同等となるように化学肥料区,牛ふん堆肥区および乾燥豚ぷん区を設定して圃場試験を行い,以下の結果を得た.1)全収量と乾物重は黄色土と灰色低地土の牛ふん堆肥区と乾燥豚ふん区で比較的高く,窒素吸収量は施肥処理にかかわらず,黄色土と灰色低地土で高くなった.したがって,収量および窒素吸収量は施肥処理と土壌タイプの影響を受けることが示された.また,乾物重および窒素吸収量は深さ60cmでの土壌溶液中硝酸態窒素濃度の作付期間中平均値と関係づけられた.2)ニンジン作の全窒素収支(=窒素投入量-窒素吸収量)は黄色土と灰色低地土の化学肥料区が比較的低く,無機態窒素収支(=無機態窒素供給量-窒素吸収量)は黄色土と灰色低地土の乾燥豚ぷん区が低くなった.また,両窒素収支において土壌タイプの影響は同様となった.3)作付期間中の深さ60cmでの土壌溶液中硝酸態窒素濃度は黄色土と灰色低地土の牛ふん堆肥区で最も高かった.土壌タイプ間では,厚層黒ボク土および淡色黒ボク土の土壌溶液中硝酸態窒素濃度は比較的低く,その原因として保水性が高いことおよび硝酸イオン吸着の寄与が推察された.

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© 2004 一般社団法人日本土壌肥料学会
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