日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
カリウム飽和・乾湿処理によるスメクタイト質土壌のセシウム保持能の向上とその持続性 : スメクタイト質土壌とアロフェン質土壌の比較
中尾 淳武田 晃塚田 祥文舟川 晋也小崎 隆
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2011 年 82 巻 4 号 p. 290-297

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抄録

^<137>Csの土壌から農作物への移行低減化対策として,K飽和・乾湿処理によって土壌のCs保持能を向上させる手法について検討を行い,以下の結果を得た.(1)スメクタイトが優先して存在する水田土壌(Sm)に対してK飽和と48時間の50℃乾燥を行った結果,Kdが大きく増加し,さらに10回乾湿処理を施すことでKdの値はさらに増加した.(2)アロフェン質黒ボク土(Am)又は純鉱物イライトに対してK飽和・乾湿処理を行った結果,Kdの大きな変化は確認されなかった.(3)K飽和・乾湿処理によりKdが大幅に増加したSm7試料(1D, 10WD)に対してK脱着処理を行った結果,Kdの値は大きく減少したものの,K飽和・乾湿処理を施さなかったSm7試料のKdと比べると高い値が維持された.このように,土壌がスメクタイトを含む場合,K飽和・乾湿処理は土壌の^<137>Cs保持能を高めるために有効であることが分かった.この処理が実際に^<137>Csで汚染された土壌から農作物への^<137>Cs移行低減化に有効かどうかは,K施用方法や乾燥条件を変えて詳しく調べる必要がある.

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© 2011 一般社団法人日本土壌肥料学会
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