2011 年 82 巻 4 号 p. 290-297
^<137>Csの土壌から農作物への移行低減化対策として,K飽和・乾湿処理によって土壌のCs保持能を向上させる手法について検討を行い,以下の結果を得た.(1)スメクタイトが優先して存在する水田土壌(Sm)に対してK飽和と48時間の50℃乾燥を行った結果,Kdが大きく増加し,さらに10回乾湿処理を施すことでKdの値はさらに増加した.(2)アロフェン質黒ボク土(Am)又は純鉱物イライトに対してK飽和・乾湿処理を行った結果,Kdの大きな変化は確認されなかった.(3)K飽和・乾湿処理によりKdが大幅に増加したSm7試料(1D, 10WD)に対してK脱着処理を行った結果,Kdの値は大きく減少したものの,K飽和・乾湿処理を施さなかったSm7試料のKdと比べると高い値が維持された.このように,土壌がスメクタイトを含む場合,K飽和・乾湿処理は土壌の^<137>Cs保持能を高めるために有効であることが分かった.この処理が実際に^<137>Csで汚染された土壌から農作物への^<137>Cs移行低減化に有効かどうかは,K施用方法や乾燥条件を変えて詳しく調べる必要がある.